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2014年3月15日 (土)

ロングショートについてのお話 その⑦-8【入門編を終えるにあたって②】

 

お知らせ【ブログを移転しました

 

おそらく、このブログでしか書く機会も無いと思うので、最後に書いておきます。

 

私自身の備忘録も兼ねて。

 

 

絶対の正解など存在しない

 

 

投資はもちろんのこと、この世界に「絶対の正解」は存在しません。

遠い日の記憶を辿りながら私の実体験を書き残しておきます。

 

19987月、スイス・ジュネーブ。国境を超えた隣国のフランスではサッカーのワールドカップが開催され大変な盛り上がりを見せていました。また、翌99年の欧州統合通貨(ユーロ)の発足に向けてヨーロッパ諸国が足並みを揃えていた頃の話です(まだフランスフランやドイツマルクの時代ですw)。

当時、ジュネーブには、いわゆるプライベートバンクと呼ばれる富裕層専門の銀行が立ち並ぶ金融街がありました(もちろん今もありますよw)。私は、銀行の扉の向こう側に1度だけ足を踏み入れたことがあります。

言っておきますが、私は千葉県の一般庶民の子どもです!私の友人の祖父の方が非常に裕福な方だったため、どさくさに紛れて入り込めただけのことですw

 

銀行の中はカウンターが完全個室になっていて、そこでバンカーとのやり取りが行われていました。「キャッシュ比率はこのくらいで、クーポン債がこういう比率で5年後にこれとこれが償還になって、償還予定の金額がいくらくらいで、この償還予定金額を株式で運用して。。。」

0のケタがあまりにも大きすぎて私には理解不能でしたが、大人になってから、「仕組み債」の商品のようにポートフォリオを設計していたようだということがわかりました。

私は非常に気になったので質問しました、「何でわざわざこんな面倒くさいことしているんですか?」、と(笑)

担当バンカーの方と友人の祖父から全く同じ答えが返ってきました、


「世界中、いつ、どこで戦争やテロ、災害などがあるかわからないから、いろいろな商品や地域に分散して資産を守っているんだよ。万が一、どれかの資産価値が0になっても、どれかが生き延びれば全部の資産は失われずに済むからね。これはリスクヘッジと言う考え方なんだ。株式と債券、それぞれの地域の通貨も違う値動きをするから、うまくブレンドして組み合わせるとプロテクトが効くんだよ」。


さらに。。。


「そうそう、スイスが永世中立国でいられるのも同じようにプロテクト機能を効かせているからこそなんだ。この国にはボーディングスクールがたくさんあって、世界中から政治家や実業家など有力者の子どもたちを集めて教育をしているんだ。だから子どもたちを担保(人質)にすることで、この国にはどこの国も攻撃できない仕組みになっているんだよ。なかなかのリスクヘッジだろ?」。

 

何ともw

 

政治的な話はここではしません。とりあえず当時16歳の私にわかったのは、「お金持ちは世界中のいろいろな商品に分散して投資を行っている」ということ、もう1つは「目の前の老人を誘拐したら身代金がたくさん取れる」ということでした(笑)

 

それから約5年後。


学生投資家になった私は、異なる2つの考え方に出会いました。

 

1つは、20039月(当時21歳の時)に訪れたアメリカ・ラスベガスでの出来事。

ホテルLUXORのカジノで同席したユダヤ系の個人投資家の方が、せっせと赤と黒のボードの上にチップを乗せている光景を見て、あの日の記憶が甦りました(いわゆるアウトサイドベット)。まさかと思って理由を尋ねてみました。

彼は私にこう言いました、「長くゲームを続けるコツは分散することだよ」、と。


ユダヤ系の特徴は、一か所に資産を留めておくよりも、できるだけ多くの国や地域、株式や債券など複数の金融商品に分散して投資する傾向があります。これは彼らの思想の原点である「タルムード」にも書かれています(「卵は一つのカゴに盛るな」という有名な格言はここから来ている)。ユダヤ人の悲しい歴史を考えれば、バビロン捕囚以来、祖国を追放された彼らには、しぶとく生き延びるためのDNAが深く刻み込まれているようです。

彼らは、子弟教育に関しても、一人はアメリカへ、一人はヨーロッパへ、もう一人はアジアへと、分散して子どもたちを留学させる傾向があります。「誰かが死んでも誰かが生き延びれば次の世代へとDNAを継承することができる」、何とも合理的な考え方です。『お金持ちには「子ども」はいない、「相続人」がいるだけ』。タルムードの言葉です。

 

もう1つは、20047月(当時22歳の時)に訪れた香港での出来事。東シナ海上空で発生した台風の乱気流の中を、天空の城ラピュタのパズー少年のごとく飛行機が突入して行った記憶があります。マジで死ぬかと思いました(笑)

幸運にも、香港を代表する個人投資家の方の誕生日会に出席させていただける機会があり、数日後、彼のディーリングルームに招待していただいた時の事です。

私はそこで信じられない衝撃的な光景を見ました。おそらく私の生涯で忘れることはないでしょう。

その方は、証券会社のOBをアナリストとして雇用し、たしか4050銘柄くらいの銘柄を絞りに絞って、わずか2銘柄に莫大な資金を集中投資していました。もちろん片張りオンリーです。

私は恐る恐る質問しました、「この投資方法は個別株に2つしか分散していませんよね?これって予測がはずれたら莫大な損失になりますよね?この投資方法はハイリスクハイリターンではないんですか?大変失礼ですがポートフォリオってご存知ですか?」

ただちに反論が返ってきました。


「バカ者!分散して投資するのは、自分の選択した銘柄に自信を持っていないからだろ?そんな中途半端な意思決定では投資は絶対にうまく行くわけがない。こっちは経営者の素性から企業の主力商品、業績、市場の占有シェアに至るまで、収集できる情報は全部集めさせて徹底的に分析しているんだ、わかるか?やると決めた以上は徹底的にやるんだ、投資は遊びじゃないんだよ!」。

私は疑問に思って質問しただけなのに、なぜか延々と説教を喰らってしまいましたw


華僑系の特徴は、戦争で言えば人的資源・物的資源を1箇所に集中する「局地戦」のように、大金を1箇所に集中して投資する傾向が強いように思います(ルーレットで言えばストレートアップベット、1つの数字に賭ける行為)。

これは投資にかぎらず商売にもその傾向が強いように思います。商売で稼いだ利益は株式や不動産などの不労所得で増やし、不労所得だけで生活できる水準に達した後でも、彼らは自分が選んだ商売そのものに一切手抜きをしません。なお、子弟教育だけは分散させているようです。

 

言葉足らずなので誤解のないように申し上げますが、「○○系がこういう考え方である」というステレオタイプ的な見方や偏見ではなくて、あれから約10年が経ち、その後、私が実際にお会いした方々は、思い出せるかぎり上記のような考え方をする傾向が強かったように思います。あくまでも私の実体験でのお話です。


「ユダヤ系」と「華僑系」、どちらも祖国を離れて異国で暮らすディアスポラ(離散の民)ですが、考え方が真逆だったことが、当時の私にとっては非常に新鮮でした。

この両者は、書籍等には商売上手のイメージで描かれていますが、少なくとも私の経験上、考え方については真逆の傾向があります。

なお、イスラエル出身のユダヤ人はお世辞にも商売上手とは思えませんw


 

投資を始めた頃に出会った2つの異なる考え方。



どちらも一理あって正しい考え方だと思います。


 

ただし教科書的に言えば、ユダヤ系の個人投資家の方の考え方は、「期待収益率」の観点からすれば間違った考え方であり、華僑系の個人投資家の方の考え方は、「リスク分散」の観点からすれば間違った考え方です。


私は、「世の中には絶対に正しい正解は存在しない」「どんな考え方にも長所と短所が存在する」ということを、体験しました。

さらには、十分に分散する資金があるお金持ちであっても、必ずしも全員が分散投資をしているわけではないという事実があることがわかりました。

私は、ジュネーブでの経験から、「お金持ち=分散投資をしてリスクヘッジをする」ものだとばかり思っていたので、香港での出来事は衝撃的でした。

 

一方はギャンブル、もう一方は金融取引。ラスベガスと香港の話は、同じ土俵で比べていないので相対比較ができるものではないのですが、投資を始めた頃、2つの場所で「全く異なる考え方」に出会いました。

 

私はいろいろ考えた結果、「ゲームを長く続ける」というユダヤ系の個人投資家の方のベット(賭け)の仕方を参考にすることにしました。こちらの考え方を選んだ最大の理由は、単に私の価値観の問題です。

おそらく私の価値観は16歳の時の経験が強烈に脳に刷り込まれてしまっていたのだと思います。最初にもう一方の考え方に出会っていたら、このブログは全く違う内容になっていたことでしょうし、そもそもこのブログを書くことはなかったでしょう。

 

入門編を終えるにあたって①】にも書きましたが、『「増やす」よりも「減らさないように」投資するという考え方そのもの』が、結局のところ、ゲームを長く続けるコツだと思っています。

 

ですから、このブログも「①ロングとショートの両建てポジションで銘柄を分散」し、「②ロングとショートをさらにグループ化して分散」するという、ポートフォリオ投資の考え方を一貫して主張して来ました。

 

時々、ふとあの頃を思い出していろいろ考えるのですが、職業として金融取引をするようになった今でも、どちらに優位性があるのかは、正直言って未だにわかりません。

 

 

【私のトレードスタイルの原点】

 

 

マーケット参加者の方は、片張り投資でも両建て投資でも、各自のトレードスタイルをお持ちだと思います。

 

誰もが初心者の頃があって、何だかわけもわからず投資して、たまたまうまく行ったり、うまく行かなかったりという経験を繰り返して来られたことと思います。

まさか、最初から100%完全に自分のオリジナルでトレードスタイルを確立して来られた方はいないでしょう。

少なからず、今までの人生から形成してきた価値観をもとに、誰かしら参考になる方の手法や考え方を完全にコピーするところから始まって、少しずつ自分なりのスタイルを確立して来られたことと思います。

 

私の現在のトレードスタイルは、2005年(当時2223歳の時)に読んだ2冊の本が基本軸となっています。あれから約10年が経った今でも私の考え方に非常に強く影響を与えています。

 

1冊が、シノビーさんの『内藤忍の資産設計塾―あなたの人生目標をかなえる新・資産三分法』です。

 

書店に行くと大量の資産運用や株式投資に関する書籍が並んでいます。しかしその多くは「誰でも」「自動的に」「短期間で」「絶対儲かる」といった無責任なタイトルの役に立たないものです。あるいはその逆に学者が書いた理論的には正しいが実際の投資には使えない本や経済評論家が現場の知識もなく「あるべき論」を振り回しているような書籍ばかりです。』(内藤忍(著)『内藤忍の資産設計塾―あなたの人生目標をかなえる新・資産三分法』自由國民社(2005/01))

 

もう1冊が、安間伸さんの『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ(3「錬金術入門」篇』です。

 

なぜ金持ちはどんどん金持ちになり、ビンボー人はずっとビンボーから抜け出せないのか。それは、投資に限らず日常生活も仕事も「ものごとの考え方と行動」がそうなっているから。-省略- 錬金術は裁定であり、人生もまた裁定の連続である。』(安間伸(著)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ(3「錬金術入門」篇』東洋経済新報社 2013/5/2)※書籍版は2005年)

 

上記2冊は「考え方」の本です。いずれも「相場技術」の本ではありません。


私のブログで具体的な数値や具体的な組み合わせなど「相場技術」の内容を書かなかったのは、しょせんは一過性の情報であり、いずれ風化してしまうものだからです。かつて、某SNSに検証結果やパラメータなどの情報を投稿して、かなりアクセスがありましたが、残念ながら今となっては全く使い物になりません。当時と今では、状況もだいぶ変わりました。

一方、「考え方」はしっかりと身につければ、その後の投資活動において、ブレない基本軸ができると思います。時代が変わっても、物事の本質は変わらないと思うのです。


考え方」と「相場技術」。ブログの観点から見ればアクセスが多いのは圧倒的に後者ですが、私は前者の情報を求めている方だけに読んでいただければ満足です。

 

私はシノビーさんの本からは「ポートフォリオ」の考え方を、安間さんの本からは「逆張り投資」と「裁定取引」の考え方をしっかり学びました。もちろん他にも書籍はたくさん読みましたが、「当時の私が求めていた考え方」と「上記2冊の著者の考え方」が完全に一致したので、自分の考え方の基本軸にすることに決めました。

忘れもしません、学生時代に住んでいた東京・自由が丘にあるピーコックの4階の本屋さんで購入して、ウェンディーズでフライドポテトを食べながら夢中で読んだことを、今でも鮮明に覚えています(両店ともすでに閉店してしまいましたけど。。。)。

 

私のブログで示した考え方は、上記2冊の書籍のコピーの上に成り立っています。私のブログは両建て取引がメインテーマなので、「書いている内容」は全く違いますが、「考え方の本質」は同じだと思います(【RPGを使ってポートフォリオの本質を考えてみる】参考)。

 

私のブログを読んで、参考になったという方がいらっしゃれば是非読んでみてくださいね。

 

もちろん、「絶対の正解」ではないことを改めて申し上げておきます。

 

 

【次に必要としてくれる誰かのために】

 

 

私が書いた内容は今まで先人たちが残してくださった書籍や文献を簡単な言葉にまとめただけ、ただそれだけです。

 

サヤ取り投資=儲かる話」ではありません。儲かる情報は基本的に他人には教えません、自分だけでこっそり儲けます(【期待値が高いと満足度は低下する~うまい話にはウラがある~】参照)。

 

とはいえ、サヤ取り投資を実践してみたいと思っていらっしゃる投資家の方が少なからず存在していることは事実です(実際このブログにもそれなりにアクセスがあることがわかりました)。

 

このブログの途中から、誰でも簡単に検証ができるようなサヤ取りソフトを作ってレンタル商売をしようかとも考えたのですが、やったところで割りに合わなそうなので、私の得意な「逆張りの発想」を使ってユニークなサービスを提供できればいいなと思っています(【システムその⑤-1】参照)。


というか、取引時間中にサポート業務とか絶対ムリだし、自分の業務で手一杯ですw

 

ゴールドコーストの話のように、金脈を掘り当てるために多くの開拓者が一発逆転を狙って押し寄せたエピソードは有名ですが、実際に大儲けをしたのは、「開拓者」ではなく、「彼らに工具を売りつけた業者」だったという何とも笑えないオチがあります。

 

「マーケットからお金を稼ぐ」のと、「マーケットからお金を稼ごうと思っている投資家に仕組みを提供してお金を稼ぐ」のは、どちらが効率的な商売なのかは私にはわかりません。

 

もしかしたら、読者のみなさんは、いつかどこかで私が作ったサービスの広告を目にされることがあるかもしれません。その時はこう思ってください。

 

広告は、平凡な製品やサービスをつくってしまったことに対して、あなたが支払う代償である」、と。

 

これは、Amazon.com創業者のジェフ・ベゾス氏の言葉ですが、私も平凡なサービスしか提供できないと思うので、予め申し上げておきます(笑)

 

悔しいですが、彼の言葉には反論できません。

 

読者のみなさんは、「平凡な金融サービス」ではなく、ぜひ「マーケット」に授業料を払ってくださいね。

 

本を読んだりセミナーに行くのもけっこうですが、何度も投資して、たくさん失敗してフィードバックしたほうがよほど上達すると思いますよ。知識と経験はバランスよくブレンドしてくださいね!

 

最後になりますが、かつて「半学半教」を提唱した福沢翁のように、教える者と学ぶ者の分を定めず、相互に教え合い学び合う仕組みを世の中に提供していくことができればいいなと思っています。

 

私もまだまだ修行中の身です、これからもマーケットにたくさん授業料を払わなくてはいけませんね(笑)

 

 

以上で、このブログは一度終了します。


機会があれば続きを書こうと思います。


最後までお読みいただき本当にどうもありがとうございました。

 

それでは、また!

 

 

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