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2014年1月11日 (土)

コラム その③【FX(外国為替)を使ったサヤ取りは有効か?】

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FX(外国為替)を使ったサヤ取りは有効か?】

 

このブログを読んでくれている知人の方々から、FX(外国為替)で相関取引の考え方は使えるのか?ということを非常によく聞かれるので、私なりに考えたことをまとめてみました。

 

で、結論から言うと、

 

 

 

よくわかりません

 

 

 

まず、このコラムを読む前にFXでサヤ取りをしようと考えているみなさんに1つだけ注意喚起をさせてください。為替の世界で相関分析をする時は、「価格レート」そのものの相関ではなく「変動率(HV)」の相関を用いるのが常識となっています!

ということで、まずはご自身が使用する予定のプログラムの仕様が、どちらの相関係数を算出しているのかをご確認ください。

 

はい、では長くなりますが。

 

まず前提として、「ロング」と「ショート」の考え方は、対象物の「絶対値」が基準となっています。

 

これは、「ロングショート」の語源についての説明にもなるのですが、これは投資にかぎった話ではなく、「資金がショートした」などのように、私たちの日常生活の中でも用いられています。ですから、「資金がショートした」という場合、「資金」という「絶対量」から減少している状態のことをいいます。

 

よって、

 

『「ロング」は投資対象の「絶対値」が「増加」(絶対値が変化)することにより、ロングポジション(買い持ち)の資産価値は増加する』。

 

一方で、

 

『「ショート」は投資対象の「絶対値」が「減少」(絶対値が変化)することにより、ショートポジション(空売り)の資産価値は減少する』。

 

というのが本来の正しい考え方です。

 

ただし、「ロング」(買い持ち)は比較的長期間に渡りポジションを保有するのに対して、「ショート」(空売り)は比較的短期間でポジションをクローズしてしまうから、という説もあるようです。

 

つまり、ロングショートとは異なる2つの「投資対象」を比較することではなく、「絶対値」同士を比較することが前提となります。【株式】は0円をベースとした絶対値であるのに対して、【為替】にはベースとなる「絶対値」が存在しません。一方の通貨の買いはすなわち他方の通貨の売りを意味します。すなわち、一方の通貨の買いと他方の通貨の売りを同時に行う為替取引の値はすべて「相対値」の概念となります。

ということで、ベースとなる「絶対値」が存在しない【為替】の世界で、【株式】と同じようにサヤ取りの相関の概念が、有効か否かということについて考えてみましょう[1]

 

【株式】のサヤ取りでは、A社の株価 [ x ] B社の株価 [ y ] の価格差 [ z ] に注目して取引をします。取引対象は [ z ] です。[ x ] [ y ] の価格差である [ z ] は、[ x ]   [ y ]  の価格の上下動により値が変化します。

 

一方、


【為替】のサヤ取りでは [ z ] しか存在しません。たとえば、AUD/NZDという通貨ペアは、それ自体がAUDNZDの「相対値」となります。言い換えれば、この取引自体がそもそも2つの通貨同士のサヤ取りをしているのと同じことになります(通貨ペア自体がすでに最小単位のポートフォリオになっているという意味)。

ようするに、AUD/JPYNZD/JPYAUD/NZDの売買をしているのと同じ意味を持つということ(AUD/JPY ÷ NZD/JPY)。だから、これを上記の【株式】に当てはめると、AUD/JPY [ x ] NZD/JPY [ y ] になるから同じようにサヤ取りができるよね?っていうことだと思います。

 

【為替】のサヤ取りについては、2国間の関係が一定であり続けるならば、相関が高いままでしょうけれども、いったん2国間の関係が崩れれば一気に相関が低くなることが考えられます。もちろん、これは「絶対値」同士を比較して行う【株式】のロングショートでも同じことが言えますが。

 

以上を踏まえた上で本題に入ります。

たとえば、オセアニア地域の通貨である「オーストラリアドル(AUD)」と「ニュージーランドドル(NZD)」は高い相関があると言われています。これらの2種類の通貨を使って考えてみましょう。


Nzdcurrency300x199


まず、前提として、『【株式】のサヤ取りでは、「①数ある銘柄ペアの組み合わせの中」から、「②ボラティリティ(変動率)が近い銘柄ペアの組み合わせを抽出」し、「③その中からさらに相関の高い銘柄ペアを探す」のに対して、

【為替】のサヤ取りでは、おそらく相関の高さだけを見て、『限られた通貨ペアの組み合わせ(為替はそもそも通貨ペアの組み合わせである)の中からさらに通貨ペアの組み合わせ同士のポジションを建てる』ということを言っているのだと思います。この違いをよ~く考えてみてください。

前者は、「株式と株式」のペア、後者は「為替ペアと為替ペア」のペアということです。

 

ここでは、異なる2国間の(通貨ペアのさらに)通貨ペアの組み合わせですから当然、ボラティリティは異なりますが、ここではボラティリティニュートラル(変動率の中立化)はできないので、この点は無視して考えます。

というよりも、この部分の作業ができないために「為替レート」そのもの(価格差)の相関ではなく、「変動率(HV)」(価格比率)の相関を用いるというのが、その理由なのでしょうね。

 

で、これをどうやってポジションを組むのかなぁ?と考えてみました。

 

2014111日現在のAUD/JPY93円くらい、NZD/JPY86円くらいですかね。

 

まず、ポジションを【1lot(=10万通貨)】に合わせた場合。

 

1lot(=10万通貨)でポジションを建てると、

 

AUD/JPY9,300,000円(93円×100,000通貨)

NZD/JPY8,600,000円(86円×100,000通貨)

 

となります。残差は、930万円 860万円 70万円。

 

よって、

 

 

ロング: AUD/JPY930万円

ショート:NZD/JPY860万円

ショート:USD/JPY70万円

 

 

というポジションを組むことになります(為替取引はすべて基軸通貨となるUSDを介したクロスレートとなるため、70万円の残差はUSD/JPYのショートポジションを組むことになる)。

 

さらっと書きましたが、冷静に考えると、これって実はとんでもなく難しいことをしようとしているように思うのですが(汗)。。。

 

個人投資家の方でこれを実践している方がいたら、相当レベルの高いことをやっていると思います。

 

 

次に、ポジションを【投資金額】に合わせた場合。

 

AUD/JPY930万円 ÷ NZD/JPY860万円 1.08

 

AUD/JPY9,300,000円(93円×100,000通貨)

NZD/JPY9,288,000円(86円×108,000通貨)

 

よって、

 

 

ロング: AUD/JPY930万円

ショート:NZD/JPY929万円

 

 

という、ほぼニュートラルなポジションを組むことになります(どちらかというとこっちのほうが簡単そうw)。

 

 

以上により、FXを使ったサヤ取り(ロングショート)は、理論上はやろうと思えばできるかなぁという感想です。私はこれについては、自分自身がやったことがないので何ともいえません。今、私は「プレイヤー」としてではなく、外野席の「評論家」として書いているだけですから。なので、実際に取引してうまくいっている方がいれば、それはそれでよいのではないかと思います。

しょせん理論は理論であって、実践とは異なりますからね。そもそも「絶対の正解」なんてこの世には存在しないわけですし、理論上は完璧でも実践では通用しないロジックは今までたくさん見てきました。

なので、為替のマーケットでサヤ取り(ロングショート)をして継続的に結果が出ているトレーダーがいれば、それは1つの正解でしょう。このあたり、私はけっこう柔軟です(FXのサヤ取りで稼いでいるトレーダーさんいらっしゃいましたら、ぜひ私にご指導ください。教えてくれるわけないと思うけど)。

よって、これに関しては、私は肯定否定もしません。投資は自己責任でどうぞ!

 

 

余談ですが、個人投資家でFXを使ってサヤ取り(ロングショート)を行う方法の他にも、裁定取引(アービトラージ)によってポジションを組む方法を以下に書いておきます(極めて厳密に言えば裁定取引ではありませんが)。

前持って言いますが、最後にちゃんと「オチ」が付いてます(笑)

 

 

1つ目は、スワップアービトラージと呼ばれ、「2国間の通貨の金利差」に注目した裁定取引です。数年前に日本でも流行りましたね。

 

FXでは株式と違って2国間の通貨の金利差を「スワップ金利」という形で受け渡しがなされます。

わかりやすい例をあげれば、FX業者AAUD/JPYのスワップ金利が100円、FX業者BAUD/JPYのスワップ金利が50円だとすれば、FX業者AAUD/JPYをロング、FX業者BAUD/JPYをショートにしてニュートラルポジションを組めば、1日ごとに50円の金利が受け取れることになります(この場合、取引する通貨ペアはロング、ショートともにAUD/JPYになりますよ)。

レバレッジをどんどん上げて行って、強制ロスカットに引っかからないようにうまく調整して逆指値注文を入れておけば、レバレッジ10倍なら500/日、レバレッジ20倍なら1,000/日と、(理論上は)ノーリスクで利益を上げられるという方法です。

ここで、賢い人たちは考えました。「スワップ金利がつかない(これを「スワップフリー」という)FX業者Cを探してきて、FX業者AAUD/JPYをロング、FX業者CAUD/JPYをショートにしてニュートラルポジションを組めば、1日ごとに100円の金利が受け取れることになる」、と。Cに該当するようなFX業者は、観光資源くらいしか外貨獲得手段を持たない小さな島国など、いわゆるタックスヘイブンと呼ばれる地域に多く設立されています。

 

私もかつて御多分に洩れず参加しましたが、口座凍結喰らいました(笑)

 

理由は、FX業者Cから見れば、「ショートしている顧客」に対して支払うスワップ金利は、「ロングしている顧客」が受け取るスワップ金利から支払われます。この差額がFX業者の収益の一部となるでしょうから、FX業者は支払う側からも受け取る側からも一定の金利分を調整しながら、金利の「支払い」と「受け取り」をある程度ニュートラル化して経営を行っているはずです。そのため、「ショートしている顧客」>>>「ロングしている顧客」のように、「ショートしている顧客」が一定数を上回ると、FX業者は破産します。だから、「ショートしている顧客」しかいないFX業者は口座凍結してバランスをとるしかないのです。

これが一時、日本で流行ったために、日本居住者向けの新規アカウントの開設ができなくなったFX業者もあると聞きますし、経営破綻に追い込まれたFX業者もあると聞きます。かわいそうに。

 

 

もう1つは、「決済レートのスプレッド」に注目した裁定取引です。

 

同じ通貨ペアの商品を提供するFX業者A社、B社、C社、D社の中に、明らかに異常な値動きをするD社がありました。この会社はおそらくロスカット狩りをしてスプレッドを稼ごうと決済レートを操縦して意図的に吊り上げていたのだと思います。

 

そこで、頭のいい私の友人はあるアイデアを思いつきました。

 

もしも、FX業者A社、B社、C社、D社の中で、その平均決済レートに対してx%以上かい離した異常な値動きを検出した場合、D社に対し、A社+B社+C社の平均値に戻ることを期待して逆張りでハイレバレッジをかけてポジションを建てる。そうすれば、時間の経過とともにA社+B社+C社の平均値へ価格が収斂するだろう、と。なお、この場合、FX業者A社、B社、C社はヘッジとして逆ポジションを建てます。

学生時代に友人たちとプログラムを走らせてトレードしたところ、【規約違反】という大人の事情により、これまた問答無用に一斉に口座凍結を喰らいました(笑)。

というよりもこれは正確に言えば、もはや「FXの裁定取引」ではなくて、「FXという仕組みを使い、意図的な約定レートの操縦から生じるインチキなスプレッドを逆手にとった裁定取引」ですから、残念ながら今は対策されてしまってできないと思いますよ。


黄金の羽根は意外な場所に落ちていたりするので、頭はいつも柔軟にしておかなくてはいけませんね。


まぁ、なかなかうまい話はないものですが。


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