統計についてのお話 その④【標準偏差】
【標準偏差】
分散の正の平方根(ルート:√)を標準偏差といいます。√する理由は2つあります。
1つ目は、分散のままだとデータが大きすぎるので、株価データの幅として採用することができないからです(例を思い出してください、分散は208でしたね。過去半年間の月末の終値が、80円、95円、110円、105円、90円、100円。最高値が110円(平均値100から10円のズレ)で最安値が80円(平均値100から20円のズレでしたから、ブレ幅はせいぜい10~20円の間くらいでしょう。分散の208という数値は大きすぎますよね)。
そして2つ目は、偏差を2条した値が分散だったので、このままだと単位が違いますね。この時点での単位は、「株価変動幅」ではなくて「(株価変動幅)2」となっています。
そこで分散の√をとる処理を行うことで株価データの範囲として使えるようにします(√することによって、標準偏差は単位が変量と同じになります)。また、2条から計算した標準偏差は、次に説明する正規分布にあてはめやすいからです。
~~~~~~前回までの復習~~~~~~
例:A社の過去半年間の月末の終値が、80円、95円、110円、105円、90円、100円だったとする。
単純平均を出す。
↓
(80+95+110+125+90+100)÷6=100
↓
平均は 100 となる。
偏差を出す。
↓
それぞれの値から平均100を引いてあげる。
↓
80-100=-20、95-100=-5、110-100=10、125-100=25、90-100=-10、100-100=0
↓
偏差はそれぞれ、-20、-5、10、25、-10、0 となる(平均値100からのズレ)。
↓
全部足すと、(-20)+(-5)+10+25+(-10)+0=0
↓
これだとブレ幅がわからない。
↓
そこで、偏差を2条してから足し算する。
↓
(-20)2+(-5)2+(+10)2+(+25)2+(-10)2+(+0)2
=400+25+100+625+100+0
=1250
↓
変動 1250 個体数 6
↓
変動を個体数で割る。
↓
1250÷6=208.3333…..
↓
よって、分散は ≒208.33 となる。
~~~~~~ここまで~~~~~~
分散は ≒208.33
↓
ルートする
↓
√208.33=14.4336…..
↓
よって、標準偏差は ≒14.43 となる。
過去半年間のA株のブレ幅は14円くらいです。例を思い出してください。過去半年間の偏差が、-20、-5、10、25、-10、0でしたから、(平均値100円からの)平均のブレ幅はだいたい14円くらい(86円~114円)だろうってことがわかりますね。
これは月足データの終値をイメージして作った例題ですが、通常は日足の終値のデータを使います(理由は、翌日のマーケットオープン時に仕掛けるため、直前のデータがもっとも有効性が高いと考えられるから。また、マーケットオープン時に仕掛けるのは市場参加者が多く、流動性が高いため、約定値が飛びにくいから)。
日足でやったらデータ数増えますし、月足データの終値だけではわからなかった高値とか安値とかの情報が出てくるので、どんどん分析の精度が上がっていきますね。さすがに分足とかティックデータで分析したことはありませんが(たぶんパソコンがフリーズすると思うw)。
ここでわかるのが、ベンチマークであるTOPIXのブレ幅と比較して大きいのか小さいのかということ。大きいものは全体の市場平均値より変動するわけだから、(ベンチマークと比べて)相対的にハイリスク、小さいものは市場平均値より変動しないわけだから、(ベンチマークと比べて)相対的にローリスクということですね。
もう説明したから大丈夫だと思うけど、標準偏差は両銘柄の山の大きさを合わせるために使うものです。標準偏差の大きい方をショートにして、小さい方をロングにするわけではないですよw 大きい小さいという判断基準は、β値、信用取引倍率、PER、PBRなどに使ってくださいね。混乱しないように!
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
標準偏差のこと、わかりやすい説明で理解できました。
改めて学ぶべきものがいかに多いか、というより今まで深く考えず株の売買をやってたなと思っています。
ブログは時々見直しさせてもらいますね!
投稿: さつき | 2013年12月12日 (木) 17時41分
ありがとうございます。
これは分析ツールがやってくれるので何となくわかればよろしいかと思いますよw
投稿: ユーディー | 2013年12月14日 (土) 10時13分