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2013年12月15日 (日)

統計についてのお話 その⑦【ボリンジャーバンド】


【ボリンジャーバンド】

 

データ分析は本来であれば、現実に起こった分布を当てはめて分析を行うべきですが、理論的には関数のわかっている分布でないと分析ができません。そのため、マーケットでは関数のよくわかっている正規分布を仮定として用いることになります。つまり、分散が有限であれば、「あらゆる分布の平均は、標本数の増加とともに正規分布に近づく」という「中心極限定理」の特徴を使って推測統計を行います。また、中心極限定理の特徴には「データ数が多ければ多いほど、標本平均は母集団平均に近い数値をとる可能性が高くなる」という「大数の法則」があります。


正規分布は、「中心から±標準偏差分の範囲内(σ1)に全データの68.3%を、±2個分の標準偏差分の範囲内(σ2)に全データの95.44%を、±3個分の標準偏差分の範囲内(σ3)に全データの99.74%を含む」という特徴を持っています。

 

以上は前回までの復習です。このように「マーケットが正規分布であると仮定して、推測統計を行い信頼区間の分析を行う」。この考え方を応用したものがトレンド系のテクニカル指標である「ボリンジャーバンド」です。本来は順張りに使われるために開発されたものらしいのですが、逆張りに使う投資家が多いです。私も、サヤの拡大幅・縮小幅を見る指標として逆張りで「あくまでも参考までに」使っています。これについてはコラム【逆張り投資の注意点】をご参照ください。

 

±1σ    68.3%

±2σ   95.44%

±3σ   99.74%

 

 

68.3% n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 1

95.44% n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 2

99.74% n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 3

 

 

±1σ n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 1

±2σ n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 2

±3σ n日の移動平均 ± n日の標準偏差 × 3

 nには20日が使用される事が多いです。

 

というちょっと特殊な使われ方をしています。


注意点として、「理論的には、値動きの正規分布を前提としているものの、現実的に、平均からの誤差は正規分布から大きく離れた分布となります。そのため、あくまでも、ボラティリティを測る尺度として、√(誤差2が使われているに過ぎない」ということを何となくいいので覚えておいてください。


平均+誤差の標準偏差という考え方は金融の世界には昔からあります。たとえば、オプション取引の価格を決めるときに使われているブラック・ショールズ方程式もこの考え方に基づいています。何度も言いますが、マーケットは正規分布にはなりません。そのため、「正規分布を前提として作られたこの方程式から算出された価格は現実の世界では成立しない」という批判があります。ボリンジャーバンドも同様ですが、この辺りにテクニカル分析、ひいては金融工学の限界があるように思います。

 

ボリンジャーバンドは通常、トレンドが出ているときは「順バリ」(終値が上のバンドを上抜いたら買い、下のバンドを下抜いたら売り)、レンジ相場のときは「逆バリ」(終値が上のバンドを上抜いたら売りシグナル、下のバンドを下抜いたら買いシグナル)として投資判断に利用されます。ロングショートは「人工のレンジ相場」を想定してトレードしているから逆張りで使います。

 

Bollinger_bands

↑こんなかんじ。右の2つがそれぞれ20日移動平均の±σ2です。


 

【ボリンジャーバンドの計算式】

 

まず、t時点におけるn期間の移動平均線(単純移動平均線、Simple Moving Average)、SMAn,t)の計算式は、

 

SMAn,t)=(XtXt-1Xt-2+…+Xt-n+1)÷n

 

次に、t時点に至るn期間の価格の標準偏差σtを計算する。

 

移動平均線に対する乖離幅をkσt(ここでkは任意の定数、例:23)とする上のバンドラインの線UBBn,t)は、

 

UBBn,t)=SMAn,t)+kσt

 

下のバンドラインの線UBBn,t)は、

 

UBBn,t)=SMAn,t)-kσt

 

となる。


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